なろう系と普通のライトノベルは<ストレス>が違う!

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「なろう系」とラノベを比較した話はあちこちでいろいろと言われています。

全然違う、いや同じだ、なろうにもいろいろある、うんぬん……

しかしどの話も自分にはしっくりこなかったので、自分でいろいろ考えてみました。

その結果、「ストレス」と「盛り上げ」の扱いが違うのでは無いかという考えに至りました。

なろう系とは

一言で言うと、「小説家になろう」で数多く投稿されている作品群のことです。

現代人が異世界に転生して、簡単に活躍してハーレムを気付いて、理想の生活を送る物語です。

「努力せず借り物の力で無双している」と叩かれていますが、それでも人気です。

(私も最初は反感を持っている側の人間でしたが、最近だんだんと考えが変わってきました。)

 

ライトノベルとは

元々ジュブナイル小説から発展した分野ですが、実際の所は対象年齢を十代に設定された物語という意外に共通点はありません。

SFもあれば、冒険もあれば、恋愛もあれば、物語のテイストも様々です。

つまり、気軽に「ラノベは~」なんて言いますが、ラノベは非常に広範囲の作品を含んでいるので一言で説明するのは不可能なのです。

だから、ここではこう定義します。

ライトノベル=十代読者を前提としたイラスト表紙付き商業小説

 

そもそもの違い:連載と売り切り

なろう小説は、連載形式です。

つまり、一話一話で読者を引っ張って次の話を読ませないといけません。

しかし、ライトノベルは売りきりなので、一冊の最後で次の巻へ読み進めてもらうフックを入れることになります。

逆に言うと、一冊の中で次を読んでもらうための仕組みはそれほど必要ありません。

 

普通の小説・映画は盛り上げが必要

海外の脚本術なんか読んでいれば実感するのですが、映画というのはしっかりした構造があり、観客の興味を引いて話を盛り上げ、主人公がなんらかの変化を迎えて終わります。

ラノベを含む普通の小説も似ていて、一冊を通して何か大きな出来事が起こり、主人公や周囲の人物に大きな影響を与えて終わります。

映画一本・小説一冊を通して満足感を与えないといけないので、話が大きくなりますし、複雑になります。

そして、最後に大きな盛り上げを作るために、そこまではストレスフルな展開が続くことになります。

 

なろう小説は盛り上げがあまり必要ない

それに対して、なろう小説は一話単位で読まれるので、一話の中で読者になんらかの満足感を与える必要があります。

その結果、一話ごとに楽しいことが起きるような作品になります。

(そうでない作品もありますが、ここで言っているのは俺TUEEEテンプレを極限まで極めた作品のことだと考えてください)

 

なろう小説はストレスが少ない

そもそも娯楽なので、ストレスなんかない方がいいわけです。

しかし、快感というのはストレスとその解放で出来ているので、大きな快感を得ようとしたら大きなストレスが必要になってしまうのです。

映画だと二時間かけてストレスをためて解放しますし、一般小説だと一冊をかけてストレスをためて解放します。

それに対して、なろう小説は一話単位なので、そのストレスがものすごく短くなります。(ただし、ストレスが小さい分、快感も小さいです)

映画・一般小説:大きなストレスと大きな満足感(一回の大きな成功体験)

なろう系:極小のストレスと小さな満足感(大量の小さな成功体験)

 

 

どっちがよい小説なのか?

私も大勢の読者と同じように「俺TUEEE系のなろう小説なんてくだらん!」とか反感を持っていたときがありましたが、最近考えが変わってきました。

結論から言うと、どちらがいいとか悪いではありません。

なぜなら、所詮、どちらもただの娯楽だからです。

一般小説・従来のラノベ:ゲームに例えると将棋です。長い対戦時間の中、頭をフル回転させて、じっくりと浸って楽しみます。

なろう系小説:ゲームに例えると、モグラたたきです。短いゲーム時間で、頭をあまり使わずに、めちゃくちゃにモグラを叩きまくって爽快感を味わいます。

なんとなく頭をフル回転させてじっくり浸る方が偉いような気がしてしまいますが、疲れていて「娯楽で頭使いたくないよ!」という時もあります。

どちらが偉いというわけでは無く、使い分けです。

精神的に余裕があるときは、モグラたたきよりも将棋の方が面白く感じます。

精神的に余裕がないときは、頭なんか使わずにモグラの頭を叩きまくった方が爽快です。

最近の日本は不景気で余裕がないですから、社会人は精神的な余裕がありません。

だから、将棋のような一般小説よりも、モグラたたきのように頭使わずに楽しめるなろう系が人気になるのでしょう。

 

 

 

 

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