「俳優の教科書」を読んで

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完全に俳優を目指す人向けの本「俳優の教科書」ですが、小説を書く上でも参考になるという話を某所で聞いて、買って読んでみました。

小説家というのは、映画で言うところの「脚本家」「監督」「大道具」「小道具」「俳優」「演出」「編集」全てを一人で兼業しているようなものです。

そう考えるととんでもないw

この本を読んで、「お、これは小説でも使える」と思ったところが二点ほどあったので紹介します。

 

 

「俳優の芝居を見て、型にはめずに撮る」

事前に想定した画に芝居をはめようとすると相剋です。

両方とも死んでしまって失敗するケースも経験してきました。

 

この話は、撮影の前に「こういう画にしよう」と決めて撮影すると失敗してしまうと言う教訓です。

実際に現場で芝居をしてみて、それを見てから「こういう画にしよう」と決めたほうがいいそうです。

これはかなり小説に通じると思います。

長編を書くとなるとある程度プロットありきで書かざるを得ないと思いますが、プロットを優先してそのときのキャラクターの感情やセリフを無視すると作品が死んでしまいます。

その状況でキャラクターに自由に演技とセリフをさせてみて、そちらを信じるべきで、プロットのために自然な演技をひんまげるのはダメ!ということだと思います。

プロットを書き出すと、作者もだんだんとキャラクターをそのプロットに押し込めようとしてしまいます。

しかし、プロットは大事でも、その状況に置かれたキャラクターがする自然な行動やセリフの方が大事です。

無理矢理型にはめて不自然で生気の無いキャラクターなど魅力が無いどころか、読者が違和感を感じて「作者都合だな」と思ってしまうでしょう。

 

シチュエーションを演じるんじゃ無い。人を演じるのだ!

たとえばお見合いのシーンがあると、みんな「書かれているシチュエーション」を演じてしまうんですよ。

そうではなくて、まずは人物を作り上げて、その人物を理解して、その人物がこのお見合いに行ったらどうなるか?と考えるのがお芝居だと、と常々言っています。

 

これも、めちゃくちゃガツン!と来ました。

小説家でも、ついつい頭を使わないで、「こういう場面だからこう振る舞う」とテンプレートで考えてしまうところがあると思います。

しかしそれはいけない、と。

そのキャラクターがその場面でどう振る舞うかを考えべきなのです。

 

まとめ

俳優の振る舞いというのは、小説におけるキャラクターの仕草に通じます。

そういう意味で、小説のなかでキャラクターをどう扱うかに関して役立つ本でした。

 

 

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