『期待』させて読者を物語に釘付けにするには

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

「期感」とは「感情を引き起こす出来事が発生する」という予測をすることです。

もっと簡単に言えば「この先でいいことが起きそうだ」という予想です。

読者はこの先でいいことが起きそうだ・面白いことが起きそうだと思えばその続きを読んでくれます。

目次

読者は物語をみていない。予測を見ている

ここでものすごく大事な事を言います。

重要

作品を読み始めた読者は作品そのものを見ていません。

作品全体を予測して、その予測を見ています。

 

意味が分からない?

例えば、あなたが全く知らない本を手に取って冒頭を立ち読みしたとします。

あなたが謀略を駆使する頭脳戦が好きだとして、冒頭で主人公や登場人物がひたすら殴り合っていたら、興味を持ちますか?

自分の趣味と違うと思って本棚に戻すでしょう。

ここでよく考えてください。

このとき、あなたは本全体を読んでいません。

つまり、本そのもので判断したのでは無く、冒頭から予測された「あなたの頭の中の作品」を見て読むか読まないか決めています。

 

補足

この説明を読んで、「いやいや、冒頭の展開は好みじゃ無かったけど、なにか惹かれて読んだ作品とかあるよ」と思う人も居るでしょう。

その場合、展開では無く、文体やキャラクターに惹かれて読んだと考えられます。

そのときは「この文体の面白い雰囲気を味わえそう」とか「このキャラクターが面白い行動をしそう」だと期待しているわけです。

つまり、その場合でも結局は何かを期待して読んでいるわけです。

なにも期待できなければ読まないでしょう。

厳密に言うと、期待には「面白い展開」「面白いキャラクター」「面白い文体」の三種類があると言えます。

このサイトでは基本的に物語(展開)に注目して分析しています。

キャラクターについては軽く説明する程度で、文体にはほぼ触れません。

(なぜなら、私が文体について詳しくないから)

 

 

読者に期待をさせる=面白い展開を予測させる

期待を辞書で引くと「あることが実現するだろうと望みをかけて待ち受けること」となっています。

「実現するだろう」=予測することです。

言い換えると「良い出来事・面白い出来事が実現すると予測し、それを待ち受けること」です。

読者に良い出来事や面白い出来事が起きるという予測を与える必要があるのです。

期待することは楽しい

期待することは非常に人の心を引きつけます。

例えば、賭け事は「賭けに勝って大金を得ること」を期待して挑んで、賭けている間ずっとドキドキし続け、そしてそれが成就したときにドーパミンが大量に放出されて快感に酔います。そして中毒になります。

これは「大金を得る」という期待を持っているからドキドキしつづけるのであって、「勝ってももらえるのはあめ玉一つ」だったらドキドキしません。

期待が実現するときよりも「期待が実現しそう」という状況の方が興奮するくらいです。

この賭け事の例からも分かるように、期待することは非常に楽しいことです。

※ギャンブルはほどほどに

期待させる方法

とても簡単に言うと、ここから先で「いいこと」「悪いこと」が起きると予測させるだけです。

直接的な説明

一番簡単な方法です。

地の文やセリフで「このままでは俺は掴まって殺されてしまう!」と説明してしまいます。

この一行で悪いことが起きると予測できます。

「このダンジョンを攻略したら、やつらを見返すことが出来る」

この一行で屈辱を晴らすことが出来るという「いいこと」が起きると予測できます。

予言させる

なろう系の作品では少ないですが、昔のファンタジー作品だと「予言」がよく登場しました。

あの予言は先の展開を推測させて読者に期待させる効果があります。

冒頭で予言者を出すのも効果的です。

禁止する

だれかに「~~してはいけない」と言わせます。

例えば「その扉を開けてはいけない」と言えば、その扉の向こうになにかがあると思って読者は期待します。

不可能の表現

禁止に似ているのですが、「~~はできない」と言われると読者は「あぁ、そのうちできるようになるんだろうな」と先の展開を期待します。

・あの島に行くことは出来ない→そのうち行けるんだろうなぁ

・お前には勝てない→そのうち勝てるようになるんだろうなぁ+このセリフを言った人を見返したい

 

雰囲気による暗示

ホラーやスリラーのような作品では、嫌なことが起きそうな雰囲気を出すことで直接的に悪いことが起きると説明しなくても読者に伝えることが出来ます。

「家の中には雨漏りするときに似た陰湿な物が漂い始めた」とか書いておけば、読者は嫌なことが起きると容易に想像できます。

どちらがいい?

あなたが文章表現が得意であれば「雰囲気による暗示」をすると格好良く決まります。

私のように文章表現が不得意(というかあまり興味が無い)タイプであれば、「直接的な説明」でいいと思います。

高尚な文章はたしかに格好いいですが、別に高尚な文章じゃ無くても展開が面白ければ普通に楽しめます。

(逆に言うとどれだけ高尚な文章でも展開がつまらなければ、やっぱりその作品はつまらない)

読者が期待してくれない書き方

逆に読者が期待してくれないのはこんな書き方です。

冒頭がテンプレそのまま

テンプレに独自要素を入れずにそのまま書くと、なにも目新しさがありません。

冒頭がひたすら暗い

エンタメ作品の場合、冒頭が無闇に暗いと読者は離れていきます。

だって冒頭から暗いと、その後もずっと暗いとしか思えません。

作者が「冒頭暗いけど、そこから底抜けに明るくなるんだ!」といっても、冒頭から読み取れなければ読者はそこで読むのを止めます。

 

 

先の展開を期待させるテンプレ一覧

ピンチに強い味方が現れる

ピンチの時にそこにいなかった強い味方が現れる。あるいは、現れる兆候です。

これがあると「状況を挽回できる!」という期待が発生して、次が楽しみで仕方なくなります。

敵がこちらの実力を見くびる

敵がこちらをみくびって「~~などできないだろう」「それが限界だろう」などと発言します。

すると本当の実力を知っている読者は、いずれ実力を知った敵が驚くだろうことが想像できます。

その展開を期待して先を読み進めます。

主人公が待ち望んでいた状況が成立する

主人公の能力や作戦が特定の条件が必要だとします。

その条件が成立すると「ここから主人公の活躍が始まる」と期待が高まります。

 

 

 

 

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

SNSでもご購読できます。