長編小説のアーキテクチャ

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短編小説だとあまり構造とかない……というか「ご自由にどうぞ」としか言えないのですが、

エンタメ作品の長編となるとある程度の決まった構造があります。

長編作品の構造について解説します。

目次

最終目的型

最終的な目標が明確にあって、それに向けて進んでいく物語になります。

数巻~数十巻かけて最終的な目的に向けて進み、そして目的を達成したところでエンディングとなります。

例:魔王を倒す

例:国を救う

序盤

序盤で最終目的が明確にします。

「ダイの大冒険」だと、魔王と勇者が過去に戦ったという世界設定を最初に説明しています。(まさに1ページ目で世界設定を示しています。)

そして、魔王が復活したということで、魔王を倒すという最終目的が明確になります。

中盤

最終目的に向けて、小目的のために行動することになります。

「ダイの大冒険」だと、小目的は「修行して強くなる」「仲間を集める」「アイテムを手に入れる」「中ボスを倒す」などになります。

終盤

実際に最終目的を達成します。

「ダイの大冒険」だと、魔王を倒して世界が平和になることです。(本当は紆余曲折ありますが、ここでは簡略化して説明しています)

メリット

大目的があって、その中に小目的がたくさん含まれるという構造で、非常にシンプルです。

目的がはっきりしているので、書きやすいですし、一度読み始めた読者は最後まで付いてきやすいです。

デメリット

どうしても長さが必要です。

中盤を省略すると盛り上がりませんし、必然的に長い話になります。

また、それだけ長い話を支える目的なので、非常に真面目で大きい目的である必要があります。

(魔王を倒す。命がかかっているetc)

つまり、話に取り組むほど真面目になってしまうので、コメディとは相性が悪いです。

 

例外

最終目的型の話だったのですが、それが解決してしまった後も物語を続けたい場合があります。

その場合、最終目的を再度設定します。

つまり、魔王の後にさらに敵がいた、みたいな感じですね。

ドラゴンボールもダイの大冒険もそういう形してます。

 

小目的連作型

最終目的は無く、小さな目的が連なっていく形式の物語です。

なろうでよくあるクエスト型はまさにこれで、クエストを受けてそれのクリアが目的になります。

そういったなろう系の作品では最終目的が無いことが普通です。

メリット

目的が小さいので、気楽に読み始められます。

また、長さが伸縮自在なので、小目的をどんどん出していくことでいくらでも話を延ばせます。

デメリット

大きな目的がないので、読者を引きつける力は弱いです。

つまり、雰囲気が良くて読みやすければなんとなく読んでくれますが、「先が気になって仕方が無い」という状況ではないので少しでも面倒くさくなったら読まなくなります。

 

 

失敗例:単調すぎる

小目的連作型のよくある失敗例は「単調」です。

・ひたすらモンスター討伐している。同じような話でおもしろさ・新しさを出すのは難しいので、だんだん失速していく。

・ひたすら女の子をGETしている。奴隷を買う・助ける・勝負する、いろいろな手段でハーレム要員を増やしていきます。しかし、ただ女の子が増えていくだけなので、だんだん単調になっていきます。

どちらのパターンも最初は面白いので初速だけを重視するならアリですが、読者を長期間引っ張っていこうとすると難ありです。

 

長編をダレさせない仕組み

同じシーンがずっと続くと読者は飽きます。

ポルノ小説でも濡れ場が連続すると飽きるので、日常パートと濡れ場パートを交互に描くそうです。

一般の小説でも同じような配慮は必要で、戦闘の後に日常パートが必要です。

 

話の区切り

連載マンガの如く、話の最後で盛り上げると続きを読んでくれるようになります。

例:攻撃の描写をして、その結果を次の話までお預けにする。

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