小説家のためのキャラクター設定表(フルスペック)

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キャラクターの設定表を説明します。

いろんな方がいろんなキャラクター設定表を作っていますが、これは全部の要素を詰め込んだフルスペックの設定表です。

見るだけでうんざりするかも知れませんが、一つずつ解説していきます。

ちなみに履歴書法については、何がなんでも新人賞獲らせます!: 作家の道をまっしぐら!!を参照。

キャラクターの第一次元・第二次元については工学的ストーリー創作入門を参照。

 

目次

キャラクター設定表(フルスペック)

大項目 小項目 説明
作品内の位置づけ 作者の意図 作者がこのキャラクターを登場させた意図をメモしておきます
  キャラクターの目的  
  キャラクターの魅力
メインキャラなら必須です
     
主要諸元 名前 本名
ニックネーム いわゆるあだ名です
真の名前 ファンタジー作品特有の要素です
性別 見た目では無く本当の性別です
年齢 見た目では無く本当の年齢です
     
外見 外見の性別 見た目の性別です
外見の年齢 見た目の年齢です
顔のイメージ 美形・幼い・目つきが鋭いとか
髪の毛の色  
髪型  
身長  
体型 つるぺた・グラマラスetc
肌の色  
その他 尻尾が生えているとか
     
性格 精神年齢 見た目と精神年齢は違う
振る舞い
実際にどう振る舞うか
振る舞いの理由
その理由
口調 のじゃ・だぜ・です
求めるもの
 
宗教 宗教名・どれほど信じているか
     
戦闘 強さ 数値・他との比較
戦闘スタイル 正々堂々・油断を誘う
特殊能力 スキルや特技など
     
社会属性 職業 収入源・所属
恋人・配偶者 現在・過去の両方
子供  
上司 会社の上司や戦闘組織のボス
部下 会社の後輩や戦闘組織の下っ端
他人からの評価 信用されている・されていない
経済状況 金持ち・貧乏・そこそこ
出身地
 
現住所 現代物なら建物名・何号室まで入れる
     
資格・実績 資格

例:宅建士、TOEIC990点、現役魔王.etc

  実績

例:過去に営業職で社内一位になった・魔王在位400年

     
履歴 小学校 異世界なら幼少期
中学校  
高校  
大学  
就職先  

 

これを解説していきます。

 

使い方

このキャラクターの設定表は基本的にメインキャラを見据えたフルスペック設定表です。

モブキャラやどうでもいいサブキャラはもっと簡単で問題ないでしょう。

また短編小説でもここまでの設定は必要ないでしょう。

この設定表の使い方ですが、白紙の状態でいきなり作っていくのはおすすめしません。

まず最初に「こういうキャラクターが欲しい」というぼんやりした像を持ってから、それのイメージを広げていくために設定表を作っていくことをおすすめします。

設定表を作ることが目的じゃ無くて、キャラクターのイメージを作者の脳内に作り上げるのが目的です。

この後、この設定表の項目を説明し、最後に設定表からエピソードを作り出す方法について説明します。

 

作品内の位置づけ

作者の意図

これ、めっちゃ大事です。

どんなキャラクターも作者としてはなにかしら意図があって登場させているはずです。

え? なんとなく登場させただけ?

手練れの作者ならそれでもうまく使いこなせるでしょうが、初心者がそうやって登場させると使いどころが見つからずに見せ場の無い捨てキャラになってしまいます。

だから、最初に作者の意図を書いておきます。

例えば、こんな感じです。

・ハーレム作品のハーレム要員の一人。主人公に従順な妹キャラ枠

・バトル作品の敵の幹部キャラ。かませ役で序盤は強く見えるが、中盤以降は雑魚扱い。

・現代のお仕事小説の中の同僚役。主人公が困ったときにさりげないアドバイスをしてくれる役

・恋愛作品のライバルキャラ。美貌と色気で主人公の彼氏を誘惑する。

 

ものすごくざっくりしたメモですが、この程度も書けない場合「何も考えていない」ということですから、そのキャラクターを使いこなせるわけがありません。

この作者の意図を書くことで頭の中がはっきりします。

 

キャラクターの目的

キャラクターは何らかの目的があるはずです。

そうでないと、そこでぼーっとしていて何もしないキャラクターになってしまいます。

目的と一緒にその動機も考えておくと説得力が高まります。

・主人公に振り向いてもらうのが目的。動機は主人公が好きだから。

・世界を支配するのが目的。動機は先代の魔王の悲願だったから。

・主人公の治癒の力を手に入れることが目的。動機は不治の病に冒された妹を助けたいから。

・気に入らない主人公を引きずり落とすのが目的。動機は自分が出世するため。

・争いが無くなるのが目的。動機は悲しい場面をたくさん見てきて、もう見たくないから。

 

キャラクターの魅力

モブキャラなら不要ですが、メインキャラなら必須です。

メインキャラクターの枠は有限ですから、そこに魅力の無いキャラクターを入れる余裕はありません。

魅力は完全に作者の好みなので、自由に設定してください。

「超絶有能」「残念美人」「ロリババア」「男の娘」etc…

 

主要諸元

名前

作品内で他のキャラクターから認識される名前

ニックネーム

作品内で他のキャラクターから呼ばれる名前

真の名前

普通は空欄ですが、偽名を名乗っているキャラクターなどに使います。

性別

これは本当の性別です。

ファンタジー作品だと見た目と本当に性別が違うことも結構ある(男の娘・擬態など)ので、本当の性別と外見上の性別は別々に考えた方がいいです。

年齢

これも本当の年齢です。

ファンタジー作品だとこれも見た目と実際が違うことがあるので、ここでは本当の年齢を書いておきます。

 

外見

外見の性別

本当の性別では無く外見です。

「男で、外見もどう見ても男」

「女で、外見もどう見ても女」

「男だけど、どう見ても美少女」

「女だけど、中性的で男か女か分かりにくい」

とか。

外見と中身の性別を別々に考えると、なかなか楽しいキャラが作れます。

外見の年齢

普通は外見と実際の年齢を一致させますが、ずらせばずらすほど面白くなります。

「本当は35歳だけど、三十前後に見える」

「本当は40歳なのに、二十代にしか見えない」

「本当は500歳だけど、10歳の女の子に見える」

「本当は10歳なのに、18歳くらいにみえる」

顔のイメージ

美形・不細工

丸顔・ほっそり

垂れ目・つり目

自信にあふれている・心細そう

作者によって注目するところは違うと思いますが、作者がイメージしている顔の情報を書きます。

髪の毛の色

ファンタジー作品だと髪の毛の色はかなりバリエーションに富みます。

現代日本を舞台にしていると黒髪ばかりになりますが、それでも茶髪や金髪といった染めた色が個性になります。

髪型

肩に掛かる程度のショートヘア・腰まで伸びたロングヘア・スキンヘッドなど、だいたいの髪の長さを書きます。

さらに、もっと詳細まで決めたい場合は、ヘアカタログなどで髪型を調べてそれを書きます。

ただ、髪型とその名前は詳しくない人は全く詳しくないので、文中で説明するときは髪型の名称を書くだけで無く、誰でも分かるように説明した方がいいでしょう。

「綺麗に整った髪」や「ろくに手入れしてないボサボサの髪」も髪型の情報になります。

身長

そのまま。身長です。

体型

痩せ型・肥満・豊満・つるぺたといった、体型に関する情報です。

肌の色

「色白」「浅黒い」といった情報です。

必要であれば、「なめらかな肌」「強い日差しで痛んだ肌」といったメモも入れておきましょう。

その他

ファンタジー作品なら「尻尾がある」「角が生えている」とか。

現代作品でも「片足を引きずる」といった特徴がありえます。

上記の項目で書き切れなかった情報をここに書いておきます。

 

性格

精神年齢

基本的に本当の年齢と一致させることが普通ですが、ここをずらすと面白いキャラクターが作れます。

「本当は40歳だが見た目は二十代で精神年齢は高校生並」

「本当は10歳だが見た目は18歳で精神年齢は完全に大人」

「本当は22歳だが見た目は15歳で精神年齢は異様に高い」

振る舞い

どのように振る舞うか。

例えば、高圧的・低姿勢・気が小さいとか。

※「工学的ストーリー創作入門」のキャラクターの第一次元

振る舞いの理由

その振る舞いの理由。

「高圧的な理由は、家を背負っていて向上心と責任感に燃えて過剰になっているから」

「気が小さい理由は、子供の頃から虐められて自信を失っているから」

といった理由を描く。

※「工学的ストーリー創作入門」のキャラクターの第二次元

求めるもの

そのキャラクターは作中で何を求めて行動しているか。

例:金・権力・愛・力・自由・勝利・名声・正義・知識

この要素は意外と重要で、洞窟に潜るトレージャーハンターの話を書いたとしても、そのキャラクターが求めているものが「金」なのか「知識」なのか「名声」なのかで、振る舞いが全然違うキャラクターになります。

 

口調

「私」「俺」「僕」「わたくし」「わらわ」「おいら」

「~だぜ」「~です」「~なのじゃ」「~でございます」

といった一人称や語尾の情報です。

宗教

現代日本の作品だとあまり宗教要素は出ませんが、海外やファンタジーだと重要になります。

信仰している宗教はなにか、それからそれをどの程度信仰しているか、です。

ファンタジー作品でキャラクターが全員無邪気にそこの宗教を信じているような作品もありますが、信仰の度合いはキャラクターによって差違があるはずです。

「その宗教の教義を全て信じているキャラクター」と「教義を100%嘘だと思っているキャラクター」と「教義を本当だと信じたいがどうしても疑ってしまうキャラクター」など色々な信仰度合いの人物がいるはずです。

現代日本だとしても、カルト教徒から「もしかしたらいるかも」程度の人、無神論者までいるように、宗教や神に関する考えはひとそれぞれ結構違います。

 

戦闘

この戦闘という要素はファンタジーでしか使えないようにも思えますが、そもそも経済活動だって戦いですから仕事も戦闘に例えられます。

強さ

強さを数値で表す、あるいは他のキャラクターとの強さの比較を記載します。

作者自身が把握できるようになっていれば問題ありません。

もし現代物だったら、「勉強が出来る・出来ない」「運動が出来る・出来ない」「仕事ができる・出来ない」といった情報になります。

戦闘スタイル

騎士キャラクターなら正々堂々とか、策士なら敵の裏をかくとか、そのキャラクターが得意とする戦闘スタイルを記載します。

現代物だったら「用意周到に準備して仕事をするタイプ」や「締め切りギリギリまで貯めておいて、最後に徹夜しながら一気に片付けるタイプ」になります。

特殊能力

ファンタジー作品なら使える魔法や技名などになります。

なろう系ならスキルとかになりますね。

現代物では特殊能力なんて項目は無さそうに思えますが、一般と比較して得意なことは全て特殊能力だと考えられます。

「計算が速い」「コンピュータ系の専門知識がある」「暗記が得意」といった内容も特殊能力としてここに記載できます。

社会属性

職業

現在の職業です。

主たる収入源、あるいは所属している組織。

恋人・配偶者

恋愛が重要でない作品であれば「配偶者あり・なし」「恋人あり・なし」程度の情報でもいいですが、恋愛要素が絡んでくる作品であれば、現在だけで無く過去の情報も考えておいた方が作品が作りやすくなります。

「初恋の人と結婚している」

「8人と付き合った後に結婚している」

「過去に30人と付き合ってきたが今はフリー」

子供

人数や名前など。

ここも重要な要素かどうかでどこまで書くかが変わります。

上司

ファンタジー作品なら仕える相手の名前で、現代物なら仕事の上司やバイト先の上司になります。

組織に属していないキャラクターであれば、特に記載する必要はありません。

部下

ファンタジー作品なら配下の名前で、現代物なら仕事の部下になります。

これも組織に属していないキャラなら記載の必要がありません。

他人からの評価

全てのキャラからの評価なんて書き切れませんが、大まかな様子を書いておきましょう。

「周囲からは仕事が出来ない人だと思われているが、後輩のAからは慕われている」

「周囲から怖い人だと思われているが、友人のBだけはそうでないことを知っている」

経済状況

かなり重要な要素です。

お金があるのか、無いのかによって人の行動も態度もかなり変わります。

経済的に恵まれていれば温和な性格な人も、困窮すれば犯罪行為に手を染めることがあります。

基本的に主人公は苦境に追い込む事が多いので、あまりお金持ちでないことが普通です。

サブキャラはお金持ちもありえます。

出身地

これもちゃんと考えておいた方がいいです。

特にファンタジー作品で「実は~~国生まれなんですよ」と後付け設定をして整合性がとれなくなったりすることがあります。

出身地を最初に考えておくと整合性が取りやすいです。

現住所

現在の住所ですが、現代日本設定なら実際の住所を設定しておいた方がイメージしやすくなります。(現実の住所だと問題あると思うかも知れませんが、別に作中で書くときは名前を変えたりしてもいいのです)

現実の住所ならストリートビューで街の様子を見ることが出来るので、簡単にリアリティのある描写ができます。

ファンタジーでもちゃんと「口うるさい大家さんの隣の借家。町外れで治安が悪い」などと書いて置いた方がいいです。

どこに住んでいるのかよく分からないキャラクターを作りがちなので……。

資格・実績

資格

TOEIC何点・簿記二級とか。

ファンタジー作品でも「教員の資格有り」とか「B級冒険者」といった資格があります。

実績

過去の実績です。

主人公の場合はあえて書かなくても作者がだいたい考えてありますが、サブキャラのことはあまり考えていないことが普通です。

過去にどういう実績があったキャラクターなのか考えると世界が広がります。

「竜を討伐したことがある」「ゴブリンに襲われた村を仲間と一緒に守ったことがある」「過去に会社を作ったが半年で潰した」「ラーメン屋を開業して一年で潰した」とか。

履歴

履歴を考えるのはものすごく面倒ですが、あるとかなり役に立ちます。

小学校

中学校

高校

現在物なら具体的な名前を入れてしまいましょう。その名前を作中で書かなければ問題ありません。

私立・公立・エスカレータ式で育ちが大分変わります。

ファンタジー作品でも、6-18歳でうけた教育や仕事について書くことが出来ます。

寺子屋で文字を習ったとか、家庭教師に文字を教わったとか、学校に行ったとか。

10歳から働いていたとか。

大学

これも現代物なら具体的な大学名を入れてしまうといいです。

そして、学部も入れておきましょう。そのキャラクターが文系なのか理系なのか、どういうことに詳しいのかというイメージが固まります。

ファンタジーものだとそこまで高等教育を受けることはめったにないでしょうね。

就職

職歴です。

現代物なら説明の必要は無いでしょうが、ファンタジー物でもこれをきちんと作るとイメージが広がります。

「ずっと冒険者やっていました」よりも「鍛冶屋で三年働いた後に冒険者」のほうが世界が広がります。

 

キャラクター設定表からエピソードを作る方法

多くの初心者がやってしまうのが、設定表をきっちり作ってからエピソードを考えようとして「えっと、どうすればいいんだ?」と固まってしまうことです。

キャラクター設定表というのは情報量が非常に多いので、それに圧倒されてしまうのが普通です。

設定表を作ってからエピソードを作るのでは無く、設定表を作りながらエピソードを作るんです。

ものすごくテンプレな物語で考えてみます。

メインストーリーは「勇者が魔王を倒す」というものです。

その中で、味方のふりをして勇者に付いてくる敵キャラというものを考えます。

このキャラ、何も考えずに適当に登場させると設定破綻しやすいですので、ちゃんとキャラ設定表を作っておくと非常に役立ちます。

しかも、なんとなく考えているよりもいいキャラが作れます。

現時点では「味方のふりをして付いてくるおっさん」という曖昧なイメージしかありません。

それがキャラクター設定を作りながらどう変化していくか、見ていきましょう。

作者の意図

読者を驚かせるための展開を作るためのキャラクター。

最初は作者もこれくらいのことしか考えていません。

キャラクターの目的

このキャラクターの目的は勇者を倒すことで明白です。

しかし、そこで思考を止めずにもう少し考えてみましょう。

勇者を倒すなら正々堂々と立ち向かって倒せばいいのです。なぜ、わざわざ身分を隠してついてくるのでしょうか。

この辺りの設定が作り込んでいないで書いてしまって、後で無理矢理それっぽい理由を書いても「後付けっぽいなぁ」「作者、何も考えていないだろ」と言われてしまいます。

わざわざ味方のフリをして付いてくると言うことは以下の理由が考えられます。

 

1、勇者よりも弱いから正々堂々と戦ったら勝てない

2,そもそも戦いが嫌いなので、暗殺で安全に片付けたい

3,ただ倒すだけでは面白くないので、勇者を信頼させてから裏切って勇者の絶望を見たいという性格が悪いキャラ

4,勇者を倒す前に勇者の周りでやりとりされる情報を収集したいから

 

その他にもいろいろ考えられますが、ここは安直に1番を選んでおきましょう。

ここまで考えたことで「ただの裏切るおっさん」から「勇者よりも弱いので暗殺を狙うおっさん」に進化しました。

 

さらにここからエピソードも作れます。

弱くて暗殺を狙っていると言うことは、旅の色々なシーンで勇者の隙を狙うでしょう。

ということは、「皆が寝静まった後、勇者の枕元に立っているおっさん。勇者が人気を感じて目を覚ます」というシーンが自動で生成されます。

さらに「剣の才能が無くてねぇ。私も勇者さんのような男になりたかったのですが」みたいな会話をするシーンも簡単に思いつきます。

さらに暗殺を狙って毒薬なども持っていると考えると、勇者に毒薬を見られて「持病の薬です」と嘘をつくシーンも思いつきます。

 

目的をもう一段階考えてみましょう。

なぜ、このおっさんは勇者を倒したいのでしょうか。

勇者に恨みがあるのか、それとも自分の出世のためでしょうか。

勇者に対して恨みが一切無いという設定もいいと思うのですが、

読者を驚かせるためのキャラクターなので驚きを優先して考えると、ただ出世のために勇者を殺そうとしているより勇者と因縁があったほうが読者への印象が強いと考えられます。

そこで、「個人的な恨みを晴らすために敵側の陣営に属し勇者を殺そうとしているおっさん」に進化させます。

 

名前

名前はなんでもいいので、ここではそのまま「オッサン」にします。

(ひどい命名だ)

ニックネーム

名前が短いので、今回は特にありません。

真の名前

これも特にないということにしておきましょう。

性別

男です。

年齢

三十代にしておきましょう。

外見の性別

男です。

しかし、ここでピピッとインスピレーションが走ります。

外見と現実の性別を分けたことがここで効いてきます。

「ん? ただのおっさんと思いきや、正体を現したら美女とかよくない?」と妄想全開に考えます。

読者に驚きを与えるためのキャラクターなので、そのアイディアは悪くありません。

そこで、性別を再設定をします。

性別(再設定)

男をやめ、女にします。

真の名前(再設定)

さきほどまでは真の名前などありませんでしたが、変身するタイプにしたので、真の名前が必要になります。

「フレイ・アングロッサ」にしておきます。(特に意味は無い)

年齢(再設定)

変身して美女になることを考えると、三十代では十代には受けそうにありません。

24歳に再設定します。

外見の年齢

上記で変身することにしたので、外見の年齢が二つできました。

男:30代

女:24才

しかしここでさらにひねることが出来ます。

見た目は美女の年齢であって欲しいのですが、中身の年齢まで24歳である必要があるでしょうか。

大昔に勇者に力を封じられた魔族とかにしてしまって、百歳以上にしてしまうことも出来ます。

面白そうなので、実年齢も変えてしまいましょう。

年齢(再々設定)

127歳に変更します。

顔のイメージ

後で美女に変化させて読者を驚かすことを考えると、ギャップは大きい方がいいと考えられます。

そうすると、美形キャラよりもパッとしない方がいいでしょう。

男:ぱっとしない顔立ち

女:人間離れした整った顔立ち

髪の毛の色

ここは好みでいいのですが、男の姿の方はパッとしない顔立ちに似合わせる必要があります。

あるいは、変身魔法でも髪の色を変えられないということにして、同じ髪色にするというのもあります。

ここでは地味な方にします。

男:くすんだ茶色

女:見事な金髪

髪型

男の方は地味に合わせます。

男:肩まで伸びたショートヘア。ただしぼさぼさ

女:腰まで伸びたロングヘア

身長

男:175cm

女:168cm

体型

男:中肉中背

女:大きな胸・超絶グラマラス

ここで「やっぱり女の姿をつるぺた幼女にしようか」と考え直して再設定するのもアリです。

今回はこのまま進めます。(再設定をしていると無限に終わらないので)

肌の色

男:浅黒い

女:浅黒い

男形態と女形態であまりに共通点がなさ過ぎるので、肌の色だけ共通にしておきました。

その他

男の方は人間形状ですが、女の方は魔族としての形状ですから、少し人間から離しましょう。

男:特になし

女:額に小さな角

精神年齢

本当は127歳なので127歳の精神年齢と考えられますが、イメージできないので「普通の大人」ということにしましょう。

性格

ここまでの設定で、昔勇者にやられたから新しい勇者に復讐しようとしているキャラクターということになりました。

そこから考えると執念深い性格だと考えられます。

口調

男と女で口調を分ける方法もあれば、同じにする方法もあります。

復讐を狙う重たいキャラクターであることを考えると、「のじゃ」のような軽い口調はあまりよくありません。

男:「わたし」「あなた」「ですます調」

女:「わたし」「貴様」「だ・である調」

宗教

魔族の宗教を考える必要が出てきました。

恐らくこの設定表を使わなければそんなこと一切考えなかったでしょう。

フルスペックの設定表のいいところは、作者が普通は考えないところも考えられることです。

魔族も人間のような思考をしていることを考えると、なにかの宗教を信仰しているでしょう。

とりあえずここでは「宗教あり」「敬虔な信者」だということにしておきましょう

強さ

これまでの設定で勇者よりも弱いことがあきらかになりました。

ただの人間よりは強いし、大抵の戦士なら倒せるが、勇者には勝てない。

ということにしておきましょう。

戦闘スタイル

ここまでの設定から、危険な相手に正々堂々立ち向かうキャラでは無いことが分かります。

そうなると、いつでも逃げられるように準備をした上で自分が危険にならないように戦うキャラクターだと分かります。

特殊能力

姿を変える設定にしたので、当然「変身能力」が特殊能力になります。

ほかにもいろいろ考えられますが、それほど強いキャラクターではないのでここで変に強い能力をつけてしまうと「え、普通に勇者倒せるじゃん」ということになってしまいます。

そこで当初の能力は「変身能力」だけにしておいて、後から覚醒したりして増やしていくことにします。

恋人・配偶者

過去に恋人がいて、今は居ないということにしましょう。

そして、勇者の恨みとこの項目を掛け合わせて、恋人が過去に勇者に倒されたことにしましょう。

このように各項目を埋めてくうちにどんどんエピソードが出来ていきます。

このエピソードから、このキャラクターが勇者に「かつての勇者に恋人が殺されたのよ!」と言うシーンを思いつきます。

子供

とりあえず子供をいない設定にしましょう。

いることにしても面白そうですが、複雑化していくので止めておきます。

上司

ここも考えどころです。

何も考えずに「魔王」と書いてしまうと「魔王」と「勇者より弱い下っ端達」という組織になってしまって、敵側の組織が非常にお粗末な物になってしまいます。

魔王側の組織をそこそこ立派なものだと考えると、「魔王」「四天王」「各部隊隊長」「下っ端」ぐらいは必要です。

そこでこのキャラクターは四天王の誰かを上司と言うことにしましょう。

部下

このキャラクターの部下を考えます。

先ほどの強さ設定で「勇者よりは弱いが、普通の兵士よりは強い」という設定にしました。

一番の下っ端がそこそこ強いのもおかしいので、なにか部下がいるだろうと考えます。

しかし、そうすると「なんで単独で突っ込んできているんだ」という突っ込みが入ってしまいます。

そうすると整合性を取るために、「部下はいない。単独行動するしかない」と設定できます。

他人からの評価

ここでいう他人というのはこのキャラクターが属している魔王軍での評価と、勇者パーティからの評価の両方があります。

魔王軍での評価:四天王からは弱いと低評価されている。

勇者パーティでの評価:地味な普通のおっさん扱い

経済状況

魔王軍に経済があるのかわかりませんが、ここでは「普通」としておきます。

特にお金に困窮しているわけでも無く、金持ちなわけでも無いとします。

出身地

出身地はできるだけ細かく考えた方が設定が広がります。

ただ、「魔界」とするわけではなく、魔界の中の住所を考えた方がいいです。

住所を考えると、そこでの生活や人間関係を想像できるようになります。

そこで、魔界の辺境のあまり豊かでは無い小さな村ということにしておきましょう。

そうすると、幼少の頃は貧乏だったとか、地元では顔見知りが多いとか、そういうことがなんとなく想像できます。

現住所

魔王軍の四天王に使えているわけですから、城の近くの建物に住んでいることでしょう。

持ち家か、それとも兵舎か。

とりあえず、三階建ての兵舎の一階の隅の部屋ということにしておきましょう。

そうすると、兵舎の中の人間関係とかに想像が向かいます。

そしてここで「兵舎の中で貴族魔族と貧しい村出身のキャラとの争い」などのエピソードが思いつきます。

資格

魔族に資格は無いと思うので、省略

実績

四天王の直属と言うことは、それなりの実績があるはずです。

ということで、腕試しで四天王直属の他の部下を倒した実績があるということにしておきます。

またこの実績から「過去に倒した四天王の部下から逆恨みされている」というエピソードも思いつきます。

履歴

現代の価値観で履歴を作ることはできませんが、できる限り作っていきます。

小学校(~12才):村で家族と一緒に暮らしている。後で幹部になれたことから、最低限の教育は受けていたことにする。

中学校(~15才):同上

高校(~18才):同上

大学(~22才):なんとなくこの辺りで恋人が出来たことにする。村に住んでいる時に出来た恋人と言うことは、同じ村人だろう。ええい、幼なじみにしてしまえ。幼なじみの村人と恋人になる。

この後、この恋人が勇者に殺される流れになるので、恋人が魔王軍に参加して勇者に殺されることにする。そして、その通知を受け取って悲しみ、復讐を決める。

就職先:

25才 魔王軍の下っ端

36才 昇進試験に失敗→昇進試験のエピソードが出来る

47才 勇者が殺されてしまい復讐の対象を無くす

89才 四天王の直属になる

と、無理矢理こんな風になりました。

 

結果

・魔界の辺境の小さな村で育った魔族の女の子

・昔、勇者に恋人を殺された

・魔王軍で成り上がって四天王直属の部下になった。ただし部下はいない

・姿を人間の男に変えて勇者に近付く

その他文中に書いたようなエピソードが大量にできました。

最初はただの「裏切りキャラのおっさん」だったのに、随分と豊かなキャラクターになりました。

このようにキャラクター表を埋めながらキャラクター設定を豊かにしつつ、エピソードも大量に作れました。

このやり方はかなりいいと思うので、是非ともトライしてください!

 

かわいいキャラの作り方

このキャラクター設定表はかなり真面目な作品のために作ってありますが、もし書きたいのがコメディ作品ならキャラクターをかわいくする必要があります。

人は自分より劣る者を微笑ましく見ます。(大人が子供をかわいいと思うのと同じ)

なので、かわいいキャラを作りたければ、大きな欠点を作る必要があります。

 

【この素晴らしい世界に祝福を!】

(カズマ)頭はそこそこいいし常識人だけど、ゲス ←実は欠点が少ないので、あまり可愛くない

(アクア)能力自体は高いけど、頭が残念 【頭が残念】

(めぐみん)魔法能力は高いけど、頑なに爆裂魔法以外使わない 【性格に欠点】

(ダクネス)攻撃が当たらない。空気を読まないドM 【性格に欠点】【能力に欠点】

 

【乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった】

(カタリナ)他人の感情に鈍い。勘違いが多い。【頭が残念】

 

もしこのキャラクター達から欠点を無くしてしまったら、あの楽しさは出なかったでしょう。

 

 

補足

このキャラクター設定表を見て、「ちゃんとやろうとすると、これだけ設定を考えないといけないのか! 大変すぎる!」と思う人が多いでしょう。

私もそう思います。エピソードや色々な裏設定を埋めることでキャラクターが豊かになりますが、気楽に物語を書き出したいときは足かせになってしまいます。

もし、あなたが書こうとしている作品が硬派な作品であれば、このキャラクター設定表くらいはきちんと作っておくことをおすすめします。

なぜなら、硬派な作品で設定矛盾や後付けだと分かる設定は読者を萎えさせるからです。

逆にあなたが書こうとしているのが、雰囲気重視のとっても緩い作品だったら、キャラクター設定表は100%きっちり作ってなくても、それほど問題ないでしょう。

なぜなら、緩い作品だとちょっとした設定矛盾や後付けがあってもそれほど読者は気にしないからです。

自分の作品の雰囲気に合わせてどれくらいがんばるか調整してください。

でも、全く作らないよりは作った方が絶対にいいです。

(私の過去作はそういうの無しで書いてるから、キャラクターがうすっぺらいのなんの(汗;)

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