長編小説を書くのはかなり難しいです。
短編小説を書ける実力があっても、長編小説となると書き上げられない人はかなり多いです。
何を隠そう、自分もそういうところがあります。(完結させたこともあるけど、かなり苦しかった)
この記事では長編小説の書き方について解説します。
長編小説と短編小説の違い
もちろん一番の違いは長さなのですが、その「長さ」が異なることにより、下記のようなことが異なります。
短編は1~3シーン。長編は数十シーン
これは大きな違いです。
短編というのは、たった一つシーンだけで作ることが出来ます。
例えば
・勇者と魔王の対決シーン
・恋愛の告白シーン
・久しぶりに出会った友人の奥さんが幽霊だった。それなのに友人が気がついていなくて突っ込みたくて仕方が無いというシーン(私の作品)
こんな風に、一つのシーンでも短編小説を作ることが出来ます。
(上記の私の作品は、スーパー・喫茶店・駐車場の3シーンで構成された短編です)
ところが長編となると数十シーンが必要になります。複雑度が飛躍的に上がります。
短編は途中から始まって途中で終わる。長編は最初から始まって最後で終わる
実は短編というのは大きな物語の一部であることが多いです。
私の作品だと旧友と会って幽霊が事故に遭う(?)ところで終わりますが、もしこれを長編化するときっとこんな風になるでしょう。
・友人との昔話(長編のみ)
・友人と出会う(短編・長編 共通)
・友人の奥さんの幽霊と出会う(短編・長編 共通)
・幽霊が事故に遭う(短編・長編 共通)
・幽霊と友人の生活を追いかける(長編のみ)
・幽霊が消えそうになる(長編のみ)
・幽霊を成仏させる or 現世に引き止めるために主人公と友人が奔走する(長編のみ)
・平穏な生活が戻ってくる(長編のみ)
→END
こうしてみてもらうとわかると思いますが、短編というのは大きなお話の一部分を切り取った形になります。
長編だと大きな話を最初から最後まで書くことになります。
短編は書きたいところだけを書ける。長編は書きたくないところも書かないといけない。
上で説明したように、短編というのは大きな話の一番面白いところだけピックアップして書くことが出来ます。
しかし、長編となるとお話全体を書かないといけなくなるので、それほど面白くなくて作者が気乗りしないところも書かないといけません。
そのため、「短編で面白かった作品を長編化したらつまらなくなった」という悲劇も発生します。
書くのが大変
ものすごく単純な違いですが、これも結構大きな要素です。
書いてみると分かりますが、十万文字を超える作品を書くのは本当に大変です。
そして、それだけ手間をかけてしまうので、完成度を追い求めてしまいます。
そうなると見切りをつけられなくなり、永遠に修正を続けていつまでも完成しなくなります。
短編は要素が少ない。長編は要素が多い。
短編小説の場合、短い文字数で描くのでそのなかでの矛盾が発生しにくいです。
しかし、長編小説となると、シーンも多いし文字数も多いので、要素が増えることにより矛盾が起こることが多くなります。
つまり、短編でクオリティ高い作品が書けても、要素が多い長編でクオリティが高い作品が書けるとは限りません。
短編は投げっぱなしがOK。長編は完結が必要。
自分の作品でも、短編は投げっぱなしです。
友人の奥さんが幽霊だと分かってボケ&突っ込みがあった後に、なにかの問題が解決すること無く、落語みたいな落ちで話が終わります。
しかし、長編だとそういうわけにはいかないです。
読者としても長い時間をかけて読んできた訳なので、お話の決着をつけて欲しいという真理が働きます。
それを放り出して終わらせてしまうと、読者は怒るでしょうし、作者も「この話終わってないな」ともやもやするでしょう。
長編小説の書き方:三通り
長編小説の代表的な書き方について三通り解説します。
連作短編
主人公を共通にした短編小説や、舞台を共通にした短編小説を集めて長編小説化する方法です。
正確に言えば長編ではないのですが、文字数が十万文字を超える作品として認識されるので長編小説の文芸賞に出すことが可能になります。
メリットとしては短編小説の書き方で長編小説(みたいなもの)を作れる点です。
プロットから作る
大抵のプロはプロットを作ってから長編小説を書いています。
(たまにそうでもないプロ作家もいるようですが)
プロットの予定通りに話が進んでいくので、書いている途中に混乱して筆が止まると言うことは少ないです。
行き詰まった場合はプロットに戻って、プロットを修正してからもう一度書き直すことになります。
そして、プロット段階で終わりが決まっているので、物語は完結を迎えることが出来ます。
一般書籍の原稿や、新人賞に向いた書き方でしょう。
プロット無しで勢いで書いてしまう
先の展開も考えずにいきなり書き出す方法です。
一般的に悪手とされていますが、WEB小説だとこういうやり方で書いている人も結構いるように見えます。
このやり方でも展開をどんどん考えて書き続けることはできるのですが、終わりの姿が見えません。
WEB小説の場合は人気がある限り書き続ける形になるので、このやり方でも書けてしまうのです。
ところが、きちんと終わりがある作品を書こうとすると、「この物語にとってどういう出来事が起これば話が終わるのか」が事前に想定できていないのでうまく行かないことが多いです。
WEB小説で人気を取るつもりであれば、人の目を引く設定だけ作って書き出してしまうのもアリだと思います。
枚数制限がある新人賞でこれをやると恐らくうまくいかないでしょう。(体験済み)
(追記予定)