小説のアイディアについて

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小説のアイディアとは、アイディアの出し方、アイディアの活用法をまとめました。

目次

アイディアとは

アイディアという言葉をなんとなく使っていますが、アイディアを言い換えると「思いつき」です。

なら小説のアイディアというのはなにかというと、「あ、これ面白いな」と思った思いつきです。

例えば、「このキャラクターいいなぁ」とか「この展開いいなぁ」とか「むかつく上司が爆発したら面白いなぁ」とか「この事件おもしろいなぁ」とか。

場合によっては逆に「嫌だなあ」かもしれません。

どちらにしろ、心が動いた物があなたのアイディアです。

人によって心が動く物は違うので、あなたのアイディアと他人のアイディアは違う物になります。

普通の人はアイディアを無意識にたくさん捨てている

日常を生きていれば、いろんなことを感じています。

「この飲食店の味はいまいち」「野菜の値段があがったなぁ」「会社でイライラすることがたくさんあった」「このアニメおもしろい」「ひたすら物が散らかって困る」

本当にちょっとしたことでも、感情が動いたことはアイディアになります。

「あの店の味はいまいち」と「面白かったバトルマンガ」を掛け合わせて、いまいちな味の飲食店が戦う物語が思いつくかも知れません。(どんな話になるんだろう??)

ところが! 普通の人は「とても素晴らしいアイディア」しかメモしません。

そんな素晴らしいアイディアは本当にめったに思いつきませんので、たいていの人は「何も思いつかない」「ネタが無い」ということになります。

しかし、アイディアは日常にたくさん転がっているのに無視しているだけです。

とにかく、ちょっとでも感情が動いたことはメモしておきましょう。

すると意外な発見があるはずです。

アイディアはリラックスしてるときに出てくる

「アイディアを出すぞ!」を気合いを入れてもアイディアは出てきません。

アイディアは脳がリラックスしているときに出てくる物です。

移動中やお風呂などそんなときにアイディアが湧いてくるので、とにかくメモをしていくしかないです。

素晴らしいアイディアを見つけるには

素晴らしいアイディアというのは、大量のアイディアの中の本当の極一部です。

「素晴らしいアイディア出てこい!」と言っていても素晴らしいアイディアは出てきません。

「大量のゴミのようなアイディア」を出して、その中からいいアイディアを見つけるのです。

つまり、素晴らしいアイディアを見つけるには、大量のアイディアを出さないといけません。

うけるアイディアかどうかはプロも判断付かない

石田衣良のチャンネルで語られていたことですが、そのアイディアが受けるかどうかはプロでも分かっていないようです。

狙ってヒットばかり出せる作家なんてめったにいませんから、実際にそうなのでしょう。

自分がいいと思ったアイディアを「これはどうですか?」と世の中に問い続けるしかないそうです。

つまり、大量のアイディアをつくって、それを次々と発信していくしかないということです。

使えるアイディアの作り方

素晴らしいアイディアというのは作ろうと思って作れる物ではありません。

しかし、使える程度のアイディアは割と簡単に作れます。

上記で書いたように、人は日常でいろんな時に感情を動かされています。

その感情が動かされたときのことをアイディアとしてリスト化します。

あとは、そのリストをじっと眺めてアイディアとアイディアを掛け合わせれば、割と簡単に使えるアイディアになります。

例えば、「物が散らかっている」×「美少女とイチャイチャしたい」を掛け合わせて、「散らかっている物が全部美少女に変身した」というアイディアを作ることが出来ます。

このアイディアが最高に素晴らしいという訳でありませんが、ちょっとした短編なら書けそうです。

このように心に引っかかったことや自分の願望を掛け合わせると、小説に使えるちょっとしたアイディアなら簡単に作ることが出来ます。

 

他の作品を見る

自分の作品ばかり考えるのを止めて、他の作品を見てみましょう。

すると、

盛り上がる場面 → 自分もこういう場面を書きたい!

納得できない場面 → これは違う! 自分ならこう書く!

と創作意欲がムラムラと湧いてくることがあります。

 

アイディアの種

「感情」から書く脚本術で「アイディアが訴える力を強くする12の方法」として紹介されている事項ですが、そもそも最初のアイディアを作り出すことに使えそうなので、紹介します。

登場人物が経験する最悪の出来事

登場人物の仕事や行動の中で起こりうる最悪のことを考えてみる。

最悪の展開というのはとてもおもしろいので、いいアイディアになる。

対照的な登場人物

正反対のキャラを無理矢理一緒に仕事をさせる・同居させる・旅をさせる。

それだけでかなり面白いアイディアになる。

対照的な登場人物と環境

登場人物と環境をずらして場違いな物にすると面白いアイディアになります。

・現代にやってきた原始人

・現代日本にやってきた魔王様(はたらく魔王さま!がそのまんまそれ)

・ナーロッパ(なろうテンプレ作品のヨーロッパ風世界)に飛ばされてしまった桃太郎

・Googleになにかの間違いで採用されてしまったかんぴょう職人

・格闘マンガの世界にやってきてしまったシンデレラ

お決まりの展開の要素を変えてみる

お決まりの展開(いわゆるテンプレ)の中の要素を変えてしまうことで面白い物語が作れる可能性がある。

例えば、なろうテンプレは「十代~三十代の現代人が異世界に転生して無双する」ということです。これの要素を変えてみるとこんな話が作れます。

・87才の現代人が異世界に転生して無双する

・大正時代の日本人が異世界に転生して無双する

・侍が異世界に転生して無双する

・豊臣秀吉が現代に転生して無双する

etc…(このテンプレは無限にバリエーションが作れるので切りが無い……)

お決まりの展開のキャラの性別を変えてみる

・シンデレラの性別を逆にして、いじめられている気の毒な男主人公が女王様に見初められる話

・痴漢をする男と女性専用車両→痴漢する女と男性専用車両

・桃太郎・金太郎→桃子・金子

お決まりの展開をひっくり返す

テンプレの要素を一つ変えてみると言うより、逆をやるという考え方です。

・「現代人→異世界に転生」→「異世界人→現代に転生」

・「魔王が勇者に世界の半分をやろうというが、勇者は断る」→「魔王が勇者に世界の半分をやろうというと、勇者はそれを受け取る」

極端にしてみる

最高・最低・最大・最小・最強・最弱……

こんなものそんなに効果が無いだろうと思いきや、使ってみると意外と楽しいアイディアになります。

・「冒険者がギルドで受けたクエストでモンスターを討伐する話」→「最弱の冒険者が最低のギルドで受けた最悪のクエストで最強のモンスターを討伐しないといけなくなった話」

・「少女が憧れの男性に告白しようとするがライバルが邪魔する話」→「校内カースト最下位の少女が校内カースト最上位の先輩に告白しようとするが、カースト最上位の美少女達が立ち塞がる話」

時間的制限を強調する

時間制限をつけると、おもしろそうな度合いが異様に増します。魔法かと思うほど変わります。

・「借金を返さないと娘が売られてしまう」→「6時間以内に借金を返さないと娘が売られてしまう」

・「超大型モンスターを討伐しないと村が滅びる」→「二時間以内に超大型モンスターを討伐しないと村が滅びる」

・「毒に冒されて死にそう」→「毒に侵されて30分以内に薬を手に入れないと死ぬ」

舞台を強調する

特殊な舞台を設定して、その舞台に注目して物語を書くことでひと味変わった話が出来ます。

・「普通の異世界転生」→「異世界転生して鍛冶屋になった」「異世界転生して受付嬢になった」

・「私立探偵が密室ミステリーを解く」→「元漁師の私立探偵が漁港で起きた密室ミステリーに挑む」

コンセプトそのものをジレンマにする

ジレンマ(板挟み)そのものを物語のコンセプトにしてしまうのも手です。

・二人の仲間のどちらかしか救えない

・村を救うと仲間が死ぬが、仲間を助けると村が滅ぶ

・会社の不正を告発したいが、告発すると部長職を失ってしまう

 

 

アイディアに関しておすすめする本

「クリエイティブ」の処方箋―行き詰まったときこそ効く発想のアイデア86

「ついに自分の居場所を見つけた。美術系の大学に通い始めてすぐのことだ。生まれて初めてそう思ったのだ。(中略)試すという目的のためなら、全く無意味と思えることでもやってしまう連中に囲まれた。そこには自由にあふれた開放感があった。」

アーディスト&講師として活躍する著者が書いたアイディアの本。

普通の本のように最初から順番に読むのではなく、行き詰まったときにパッと適当な章を開いて使います。

ふとしたときに開くと、その度に色々なことに気が付く不思議な本です。

おすすめ。

 

「感情」から書く脚本術

この記事はこの本をかなり参照しています。

いい本なので、是非とも読んでみてください!

 

まとめ

断片的なアイディアが組み合わさって、いわゆるログラインと呼ばれる二行ぐらいで説明できるアイディアになります。

小説もアニメもマンガも、あらゆる芸術作品も、結局の所「~~っていうアイディアは面白いと思うんだけど、どう?」とアイディアをその形にした物に過ぎないと思います。

漫画家ならそのアイディアはマンガになりますし、映像の企画者なら映画になります。

「これっと面白いよね?」と人に言いたくなるようなアイディアが出来たら、それは作品にするべきです。

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