『笑い』を生む物語の部品(ギャグ・コメディ)

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ギャグ・コメディというのは、正常な状態からのズレです。

どのように面白いズレを作り出すかまとめました。

目次

認識の不一致(勘違い)

そのキャラクターの周囲の人間が勘違いしている

そのキャラクターが本当のことを言っているのに、周囲がそれを信じないといったようなケースです。

「この素晴らしい世界に祝福を!」でアクアが女神だと言っても誰も信じないという状況がこれです。

キャラクターが勘違いしている

これの例としては「たとえばラストダンジョン前の村の少年が序盤の街で暮らすような物語」が上げられます。

この作品では、主人公は強いのに自分が弱いと思っています。そして周囲はその強さを分かっているので、主人公の認識と周囲の認識のギャップが生まれて、それがおもしろさになっています。

しかし、この状態は「主人公が正しく状況を認識していない」という事なので、長く続くと読者が「いい加減分かれよ!」とストレスをためてしまいます。

実際、この作品でもそういう突っ込みがたくさん入っています。

このパターンを使う場合は、この状態を短期間に限定する方が無難です。

 

 

期待と現実が極端に違う

例えばファンタジー作品で主人公が凄い剣を手に入れたとします。

主人公が事前に考えていたとおりその剣がとてつもなく切れ味がいい剣であれば、それは全くギャグでは無く普通の出来事になります。

ところが、主人公が期待していたものと違って刃渡り5センチメートルの剣だったら「は……なんだこれ」と唖然としたらそれはギャグになります。

逆に主人公が期待していた以上に凄すぎて、剣を一振りするだけで山が吹き飛んで「は……なんだこれ」と唖然としたらそれもギャグになります。

つまり、期待と現実があまりに違うとギャグになります。

これは他のキャラクターにも当てはまって、主人公の強さが圧倒的すぎて唖然としていたらそれも軽いギャグ表現になります。

威勢のいいことを言って全然ダメ

とっても作りやすいです。

実態と全く違う宣伝

たとえば凄いしょぼいパーティなのに話を盛って凄いパーティに見せかけて仲間を勧誘する。

こんなシーンもクスッと笑えるシーンになります。

 

本来ありえない状況

敵が主人公を味方だと思っている

主人公が正体を隠すか、あるいは敵が間抜け、あるいは特殊な状況により、敵が主人公のことを自分たちの味方だと思っているパターンです。

真面目に描けば緊張感がある潜入シーンになりますが、敵を間抜けに描いたり主人公がツッコミを入れたりすると途端にコメディチックになります。

 

敵が主人公を敵だと知らずに惚れている

ラブコメ系だとよくあるパターン。

主人公が正体を隠していて、敵が主人公のことを自分に敵対する相手だと知らずに好意を持つパターンです。

ベタですが盛り上がるので使いやすいです。

 

偉い人が(そうとはしられずに)下っ端扱いされている

本人が望んでそうしている場合でも事故の場合でもよいです。

偉い人が下っ端として扱われ、周囲の人間も下っ端としか思っていないと、そのギャップが笑いを呼びます。

一部の人物がその正体を知っていて、「あいつAをこき使っているけど、後で上官だとばれたときにどういう顔をするんだろう」とかコメントすると更に面白くなります。

 

下っ端が偉い人扱いされる

上記の逆です。

下っ端が偉い人として扱われ、周囲の人間も偉い人と信じて疑わない状況も、ギャップが笑いを誘います。

 

酷いことが繰り返される

誰かが酷い目に遭うというのは本来笑えることではありませんが、あまりに酷い目に遭うと笑えてきます。

運が悪すぎる

鳥の糞が頭に当たる・靴の紐が切れる・スリに遭う・お金を落とす・持ち物が壊れる、といったことが連続して起きるパターンです。

これをそのままキャラクター化して、「運が悪すぎるキャラクター」を作ると自然とギャグ作品になります。

たらい回しが続く

なにかを依頼して別の人に回されるというのは普通のことです。

しかし、それがずっと繰り返されると酷すぎておもしろくなります。

ダメな組織を使ったギャグに出来ます。

 

気まずい雰囲気

気まずい雰囲気というのは本人達にとってはきついものですが、端から見ていると笑える物です。

 

発言と表情が合っていない

爆笑と言うほどではなりませんが、クスッと笑えるシーンが作れます。

真顔で酷いことを言う

クスッと笑えます。

笑顔で酷いことを言う

ギャップが強くなるので、結構楽しいシーンになります。

格好いい表情で酷いことを言う

キメ顔で「逃げるが勝ちだ。逃げよう」と言うパターンです。

キメ顔でエロいことを言うのもこのパターンです。

 

会話が噛み合わない

これは応用技です。それなりに難しいです。

お互いの認識が違っている状況で会話が噛み合わない状況を作り出します。

ですが、ただ認識が違うだけだと、お互いに気が付いてまともな会話になってしまうので、どちらかが気が付かないように意図的にアホにする必要があります。

ギャグが強い作品ならかなりキャラをアホにできますが、そこそこ真面目な作品だとキャラはいつでもまともな思考をします。

「まともな思考をしているのに会話が噛み合わない」という状況を作るには、相当注意深く設計しないといけません。

狙って作るのはかなり難しいです。

 

度を越している

なんでも度を越しているものがギャグになります。

強すぎる

主人公側が強すぎるのはギャグになります。

敵が強すぎるのは脅威なのでギャグにはなりません。

 

真面目なシーンで何かがおかしい

メインストーリーという物は基本的に真面目になりますが、その真面目なシーンの裏でおかしなことが起きていると「まじめ」かつ「ギャグ」というシーンに出来ます。

真面目な会話+台なしな状況

主人公が相手とすごく真面目な交渉や会議をしているとします。

そのときに台なしな状況を設定します。

・真面目な商談をしているのに、洗濯物が乾いていなくて実は上着の下になにも着ていない(表面上は分からない)

・魔王と勇者が真面目な言い合いをしているのに、実は早くトイレに行きたくてしかたがない。

 

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