エンタメ作品は何のためにあるのでしょうか。
それはズバリ、
読者の感情を動かすためにあります。
どんなに教養にあふれていようとも、読者の感情が動かなければそれはエンタメではありません。
どんなに新規性があって画期的だとしても、読者の感情が動かなければそれはエンタメ作品ではありません。
そういう作品があってもいいですが、それはエンタメではありません。
感情を動かす
これがエンターテイメントの基本です。
ジャンルと感情
「感情」から書く脚本術でジャンルは感情と紐付いていると書かれています。
コメディ:笑わせてくれることを期待する
スリラー:本能的なスリルとショックと驚きを期待する
この本にはこれしか書いていませんでしたが、私自信でいろいろ考えてみました。
ラブコメ:恋愛のドキドキ感と笑いの両方を期待する
なろう系:爽快感と願いが叶う快感を期待する
スポ根:血がたぎるような熱い感情を期待する
悲恋:主人公の気の毒さに同情し、泣いてしまうことを期待する
ミステリー:難しいトリックを謎解きする楽しさと、奇抜なトリックに驚かされる事を期待する
etc…
読者を驚かせる(読者が予期しない展開をする)
映画監督のウィリアム・ゴードンは
「観客が欲しがっている物をあげてください。ただし予期せぬ方法で」
と言っています。
例えば、勇者が魔王を倒す物語があるとします。
魔王の悪行を描くことで、読者は「勇者が魔王を倒して欲しい」という結果をのぞみます。
これが読者が欲しがっているものです。
しかし、勇者が魔王城に乗り込んで一対一で戦って勝ちました、という話は読者が予期している物なので読者は全く驚きません。
同じ魔王を倒す結果であっても、奇襲するとか忍び込むとか搦め手で弱らせるとか、読者が予期しない方法を使うことで、読者を驚かせて楽しませることが出来ます。
感情を引き起こす要素を『部品』として扱う
普通の創作論では「プロット」「展開」「キャラクター」と分けて扱いますが、この「物語工学」のなかでは全てを『部品』として扱います。
なぜなら、「快感」という感情を起こすものをプロットやキャラクターに分離してしまうと逆に分かりにくくなるからです。
快感という感情を引き起こすためのプロット・キャラクター・小ネタの全てをまとめて扱っていきます。