2022年 1月 の投稿一覧

『期待』させて読者を物語に釘付けにするには

「期感」とは「感情を引き起こす出来事が発生する」という予測をすることです。

もっと簡単に言えば「この先でいいことが起きそうだ」という予想です。

読者はこの先でいいことが起きそうだ・面白いことが起きそうだと思えばその続きを読んでくれます。

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『驚き』を生む物語の部品

驚きの仕組み

驚きの基本的な構造は「Aと思ったらBだった」です。

まず読者にA(ヒロインは女性)と思わせておいて、実はB(ヒロインは男だった!)という事実を示すと、読者は驚きます。

ここで重要なのは、読者を驚かせるにはAとBの両方が必要だと言うことです。

作者はつい「こんなぶっ飛んだ設定を出せば驚くだろう!」と思って、Bだけをだしてしまいますが、そうすると意外と読者が驚いてくれず「なんで?」とがっかりしてしまうことになります。

まず主人公がヒロインに出会い「なんて綺麗な女性だ」と「(A)完全に女だ」と思い込んだところで「(B)実は男です」と言われるから驚くのであって、出会いの時に「えーと、これから人を紹介するよ。どう見ても女性に見えるけど実は男だから」と最初にBを言われてしまったら出会っても驚きません。

作者はうっかりトリッキーなBを用意すれば読者が驚くと考えてしまいますが、Aが必要です。

なぜ作者はBだけを書いてしまうのか

現実で考えてみましょう。

「なにもいないと思っていた茂みから、突然狼が飛び出してきた」という状況を考えてください。

これを経験したときに、その人はどういう風に記憶するでしょうか。

驚きという感情は「突然狼が飛び出してきた」という所と結びつきますが、「なにもいないと思っていた」という部分はあまり記憶されません。

だから、その人が後で語るときは「突然狼が飛び出してきて驚いた」というところだけが強調されます。

物語でも同じです。

読者がすっかりヒロインが普通の女性だと思い込んだところで「実は男だ!」という展開があった場合、読者は「実は男だ!」という所だけが驚きとして記憶に残っていて、そのまえにヒロインが普通の女性だと思い込まされていた部分は印象が薄いです。

だから、その読者が作者に回ったときに「実は男だ!」があれば読者は驚くと勘違いしてしまうのです。

 

なぜ驚きが大切か

驚きなんて必要?と思うかも知れませんが、必要です。

なぜなら、驚きは人の注意を引きつけるからです。

人は元々状況を把握しようとする生き物です。状況が把握できていないと知らないうちに危険な状況に巻き込まれる可能性があるからです。

驚きというのは状況を把握できていないときに引き起こされる感情ですので、その感情は本能に「想定外のことが起きた! 注意力が不足していた! もっと注意深く現状を把握せよ!」と働きかけます。

つまり、物語の中で驚きがあると、読者はその作品に集中してくれるようになるわけです。

逆に一切驚きが無く、読者が思っているとおりに進んでいくと、読者は「あー……退屈」と思ってしまいます。

退屈でも心地よければ読んでくれるかも知れませんが、しかし本気でのめり込んでくれることはありません。

 

世界設定の驚き

世界設定はうまく使えば大きな驚きを与えられます。

しかし、世界設定は物語の中で一貫しているので、一回この驚きをつかってしまったら二度と使えません。

一度しか使えない大技だといえます。

実はゲーム世界だった

現実で起こった出来事だと思ったら、VRゲームの世界で起こった出来事だった。

実は異世界だった

現代だと思ったら異世界だった。

ただ、異世界物が一般化しているので、今ではこの展開は驚かれません。

異世界だと思ったら未来の地球だった

うまく使うと面白い展開になりますが、最近は使い古されているので微妙かも。

実は現実だった

ゲーム世界だと思ったら、現実だった。

これも今では一般化しているので、現在ではあまり驚かれないでしょう。

実はシミュレーションされた世界だった

現実の世界だと思ったら、コンピュータでシミュレーションされた世界だった。

シミュレーションしているのは人間の場合もあれば、もっと進んだ世界の宇宙人の場合もあります。

魔法だと思ったら科学だった

魔法にしか見えない現象を引き起こしているのは、実は非常に進んだ科学技術だった。

 

TIPS

世界設定の驚きを使う場合、出来れば主人公と敵の両方が居る場面で種明かしをしましょう。

主人公だけが「な、なんだってー!」と言っているより、敵と味方の両方が「な、なんだってー

!」と言っている方が盛り上がる場面になります。

 

 

キャラクター属性の驚き

女だと思ったら男だった

性別が違うのは結構な驚きになります。

ただ、男の娘が一般化しているので少しでもヒントを与えると読者は簡単に察してしまいます。

男だと思ったら女だった

上記と同じパターンです。

こちらもうまく決めれば大きな驚きになります。

真面目な性格だと思ったらいかれた性格だった

真面目そうな外見・服装・振る舞いで登場させておいて、ある時点でいきなり本性を現すという方法です。

例えば、すごく生真面目で厳格な女性なのに、好みの少年が現れた途端に息を荒くして欲望に忠実になったら驚きますね。(ありがちと言えばありがちですが、なにもないよりは驚きます)

身分を偽っていた

大昔からあるパターンだと「平民だと思ったらお姫様だった」という奴ですが、現代の読者はこれに慣れているのでもはや驚いてくれません。

これで驚かすには、「奴隷として振る舞っていたが実はお姫様だった」ぐらいの身分のギャップが必要です。

探して居た相手が身近に居た

主人公達がずっと探している相手がいるとして、その相手が実は身近な相手だと分かると驚きが生まれます。

探されている側がそれを自覚して主人公達に隠している場合と、探されている側が主人公達が探していることをしらずに普通に振る舞っていただけの場合があります。

「コードネーム○○は(キャラクター名)のことだったんだ!」「な、なんだってー!?」と盛り上げましょう。

 

驚く新規キャラクター

作品内常識を越える能力を持つキャラクター

いわゆるチートキャラクターですが、注意すべきは「作品内常識を越える」というところです。

いくら新規キャラがチート級でも、作品内にチート級がうようよいたら読者は「またか」と思うだけです。

現実的な人間しかいない世界に突然大魔法を使うキャラクターが出てきたら驚きますが、魔法使いがうようよいる世界で大魔法を使うキャラクターが出てきても誰も驚きません。

このキャラクターによる驚きは作品を通して2-3回しか使えません。

 

 

敵・味方の驚き

味方だと思ったキャラクターが敵だった

いわゆる裏切りキャラです。

そういうそぶりを見せずにいきなり裏切れば、やはり読者は驚きます。

ただ、少しでもそういうそぶりを見せれば読者は一発で見抜きます。

敵だと思ったキャラクターが味方だった

敵だと思っていたら、実は裏側で主人公をサポートしていた人だったという奴です。

うまくすると感動する話にもできます。

敵のボスだと思ったら、その上に更にボスがいた

バトル系作品のテンプレではありますが、序盤でボスに見えていた敵の上に更にボスがいるという設定です。

敵を倒したと思ったらその裏に更に強い敵が居るという驚きを与えます。

敵が居ないと思ったところから敵が出てきた

危険を煽るので読者の注意を強く引くことが出来ます。

「状況を認識できていない」という感情を引き起こして、読者は物語を注意深く読もうとします。

死んだと思った味方が生きていた

崖から落ちて死んだと思ったら生きていた。

爆発に巻き込まれて死んだと思ったら生きていた。

どう見ても刺されて殺されたのに、特殊能力で生き返って生きていた。

どのパターンでも読者に「絶対に死んだ」と思わせておいてから、言い場面で登場させると読者は驚きます。

死んだと思った敵が生きていた

これは味方が生きているパターンよりも驚きは少ないですが、多少の動揺を読者に与えることが出来ます。

 

注意事項

驚きは大切なのですが、やり過ぎると読者が嫌になるというデメリットがあります。

驚きは読者の予測を裏切ることです。

予測を裏切られると読者はショックを受けて、精神的に疲労します。

驚かせまくると言うことは、読者はめちゃくちゃ疲れさせることになります。

軽い疲れなら「いい物語を見た」みたいな爽快感がありますが、疲れが酷すぎると単純に「もうこの物語を見るのはいやだ」となってしまいます。

「ほどよい疲れ」になるレベルに抑える必要があります。

確実におもしろくない物語の書き方

面白い物語の書き方ではいまいちピンと来ないことが多いですが、なぜか「面白くない物語の書き方」はすごくわかりやすいです。

面白くない要素を説明していくので、創作に役立ててください。

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読者を「掴む」小説の書き出し

物語の冒頭に必要だとされていることをまとめます。

あくまで、王道的なことを書きます。

その王道を逆から行くことでおもしろい物語というのも書けますが、それを全部ごっちゃにすると訳が分からないことになるので、変則テクニックは枠外に書きます。

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小説執筆のよくある失敗

小説家あるある話をまとめてみることにしました。

きっと、同意して貰えるはず!(笑)

 

アイディア編

思いついたアイディアの作品がすでにある

「おお、天啓を得た! これはすばらしいアイディアだ!」とひらめいて、「こんなことを思いつくのは自分くらいだ」と思いながら念のため「小説家になろう」で検索を書けると、なんとほぼ同じアイディアの作品が。

あまりに似ている作品を出して変な言いがかりをつけられたくないので、せっかくのアイディアを泣く泣く手放すことに……

 

かっこいいキャラを考えたので、これで作品を書けば大ヒットだ!という勘違い

小説家あるある。頭の中にすごく魅力的なキャラクターが出来ていて、それを描けば大ヒット間違いなしと思って書くが、なぜか全然受けない。

作家の中にはそのキャラクターに対する愛着があるわけですが、読者にとっては「どこの誰か分からないどうでもいいキャラ」でしかありません。

読者を作者と同じ気持ちにさせるには、読者が作品を長い時間読んでキャラクターに愛着を持ってもらわないと行けません。

長い時間を読んでもらうには、まず展開で引かないと行けないわけです。

「冒頭で読者の興味を引く展開→読者が展開を通してキャラを知る→キャラが好きになって、読者と同じようにキャラを楽しめる」

最初に展開で興味を引かないと行けないのに、展開を軽視してキャラの魅力に頼ってしまうと冒頭で読者は離れてしまいます。

 

俺TUEEEテンプレに反逆しようとしてウケない

流行に逆らってやるぜ!と書いた作品が結局誰にも読まれずにウケない。

現実とは残酷です(汗;

 

ライト作品を好む読者が多いのに場違いな作品を投稿して轟沈

小説投稿サイトは軽く読めるエンタメ作品を好む二十代~三十代の読者が多いです。

そこに、やたら硬い文章の作品や時代小説を投稿しても人気になるのは難しいです。

 

リアルさを重視してつまらなくなる

リアルさと楽しさは違う!

「この作品、おもしろいけどリアルじゃ無いなぁ。もっとリアルに書いたらおもしろいはず」なんて思ってリアル調にしてみた結果、つまらなくなるというパターンです。

作者というのは書いているときはアドレナリンが出まくっているので「おお、既存の作品に比べてリアルでいいじゃん!」なんて思っていて気が付かないが、後で冷静になって単体の作品として読んでみると「地味で無駄なことが多くてつまらない」という事に気が付きます。

物語は嘘とリアルのバランスで出来ていて、そのバランスにも正解はありません。

しかし、単純にリアルに書いたから面白くなるわけではないので注意!

例:単純にイチャラブを書きたかったのに、リアルな男女の面倒くささと入れたらイチャラブが純粋に楽しめなくなった。コンセプトが崩壊している!

 

心がけ編

愛では無く恨みをぶつける

自分の恨みの気持ちを込めて書いた作品は苛烈になります。

読者には作者の気持ちが伝わってしまうので、そういう作品は楽しめる物にはなりません。

純文学を書くならいいかもしれませんが、エンタメ作品を書くときには恨みではなく自分の愛を込めないといけません。

 

好きでないものを書く

作者が楽しんで書いていないと、それも読者に伝わりやすいです。

登場人物のセリフが無味乾燥になります。

受けようと思って好きでないものを書いても、成功は難しいです。

(プロの作家もだいたいそういうことを言っています)

 

照れ隠しをしてつまらなくなる

お涙頂戴展開・感動展開・中二病爆発のシーン・ラブラブシーン等、作者としては書きたくて仕方ないんだけど「恥ずかしい」ということが結構あります。

そのときについ照れ隠しをして、主人公やサブキャラクターにツッコミを入れさせたり、その場の雰囲気を壊すギャグを入れてしまうこともよくあります。

しかし、そんな風に作者が照れている作品は読者が萎えてしまいます。

その展開を書くなら、変な風に照れ隠しをせず、正々堂々やりきったほうが読者への受けはいいです。

そもそも読者は臭い展開なんて見慣れているんだから、作者が思うほど気にしてません。

そして、どうやろうと一定の割合でアンチは発生するので割り切りましょう。

(作者にとって自作は特別な作品だが、他人にとってはいろんな作品の中のひとつに過ぎない)

 

ストーリー編

障害がなさ過ぎる

人間というのは普段トラブルを避けるように生きています。

わざわざ危ない人に近付きませんし、車道に飛び出したりもしませんし、むかつく上司に飛び膝蹴りを食らわせたりもしません。

ついその思考パターンのまま物語を書いてしまうと、「なにも起きないスローライフ」みたいな作品になってしまいます。(まぁそのスローライフがおもしければいいですけど)

そういう作者の作品では主人公はトラブルを起こしませんし、トラブルが舞い込んできても最短距離であっさり解決してしまって盛り上がりません。(自分もそうなので反省)

ところが物語というのは障害がないと面白くならないので、トラブルをどんどんぶち込んでいかないといけません。

 

偶然が多すぎる

偶然うまくいく展開が続くと、読者はご都合主義感を感じて本気でその作品を読む気をなくします。

偶然悪いことが起きるのはOKなのですが、偶然うまくいくのはNGです。

 

すべて読者の予想通り

人は「こうなる」と分かりきっている物に対してドーパミンを出しません。

人はどうなるかわからないもの、ギャンブル性のあるものに反応してドーパミンを放出します。

読者が最初に予想したとおりに展開して読者は全く驚かせない作品は非常に退屈です。

 

一番大きな障害を序盤でクリアしてしまった

盛り上がる障害を用意できたけど、序盤でそれをクリアしてしまったというケースです。

序盤が盛り上がりますが、その後はゆるゆるで読者が興味を失います。

個人的に経験あり……

キャラクター達が仲良くしているだけ

これも個人的に経験があります。

書いている方は好きなキャラクターに会話させているだけで楽しいんです。

でも、外から見てみると、キャラクター達がなにも行動せずに雑談しているだけなので退屈で仕方ありません。

話している内容も作者的には大事なことを話させているつもりであっても、読者視点で見ると「ただの設定の羅列」になっていることがあります。

 

執筆編

そもそも書き始められない

いつか書こうと思いつつ他の雑事にかまけていると、いつまで経っても書き始められない。

 

書こうと思ったときにネタが無い

いざなにかを書こうと思った時にネタ帳をひっくり返しても、いまいちピンとくるアイディアがない。

そして書かずに終わる。

 

気合いを入れて書いた作品が全然読まれなくてへこむ

1%のランキング上位者を除き、99%の作者はこれを感じるでしょう。

 

エタる

様々な原因で作品は簡単にエタる。ちゃんと完結させてあげたいという思いはあっても、時間とか気合いとかいろいろな原因で簡単にエタる。

 

クライマックスが思いつかない

なんとなくの設定となんとなくキャラクターで書き続けてきたが、いわゆる「盛り上がる展開(クライマックス)」が思いつかなくて筆が止まる。

 

似たような展開が続く

最初は面白かった展開も、同じような事を繰り返すうちにどんどんつまらなくなっていく。

しかし、それ以外にネタが無く、ひたすら同じような展開が続いてしまう地獄。

 

作品のコンセプトが迷子になる

「TSして可愛い女の子になってチヤホヤされるのって楽しい!」というアイディアをコンセプトとして作品を書いたとします。

最初のうちはそれでいいのですが、話が続くにつれ「悩み」だとか「ゴタゴタ」だとか「苦悩」だとかをついつい入れてしまって、いつのまにかやたら暗い物語になってしまうことがあります。

意外に作者は自分で決めた作品のコンセプトを忘れがちです。

時々、作品のコンセプトを見直して軌道修正しましょう。

 

設定がぶれる

キャラクターの性格・世界観etc

書いているうちにだんだんぶれてきて、初期の設定からどんどん変わっていく。

仕方が無いから、それを理由づける説明(実は最初からいい人だった!とか)を付け加えてなんとか体裁を保つ。

 

※「転成したらスライムだった件」のアニメを見ていて、最初のうちオークは「思考能力が低い」と言われていたのに、実際に仲間になってみたら普通に人間並みの知性があったので、「あぁ……展開の都合上、設定を後から変えたんだな」と思いました。そして、それでも普通に楽しめたので、設定のブレがあると物語が破綻するかというと、案外そんなこともないのでした。

悪役を作れない

書いているうちに全部に愛着を持ってしまって、キャラクターを悪く書けず、悪役が消失する。

しかし、悪役がいないことにより、物語から起伏が消失する。

大量の並列ストーリーが発生する

読者というのは物語の一カ所か二カ所程度に注目しながら物語を読んでいます。

例えば、ラブストーリーで読者が恋愛相手との進展とライバルキャラの動向を気にかけているとしましょう。

ところが作者というのは思いつきをたくさん取り入れたくなったりするので、ついついモブキャラのことだとか主人公とペットとの交流とか、読者が気にかけていない部分の描写をしてしまいます。

そして、書いた以上、そのまま放って置くわけにいかなくなるので、「恋愛相手との進展」「ライバルキャラの動向」「モブキャラAの動向」「モブキャラBの動向」「ペットとの交流の進展度」「父親との確執」などと物語内で処理しないと行けないストーリーがどんどん増えていきます。

そうなると読者は興味の無いことばかり読まされることになり、「いいから恋愛相手との話を書けよ」とストレスを感じることになります。

作者は「全て」をやりたくなりますが、読者は別に全てを見たいなんて思っていません。

(私自身が過去の自作を見ていろいろ思いました。よかれと思って書いたことが、今見てみると無駄だった……)

つじつま合わせで大量の文字数を消費する

小説を書くようなタイプの人は完璧主義の傾向があります。

なので、話の中で理屈が付かないことが出来てしまうと、なんとかこじつけたりしようとします。

それ自体はそれほど害はないのですが、そのために展開を遡って主人公と関係ない話を大量に語ったりすると途端に失敗パターンになります。

読者は「主人公がなにをやるか。主人公がどんな目に遭うか」に興味があるのであって、話の整合性を確認するために読んでいるわけではありません。

作者が完璧な作品を作ろうとしてつじつま合わせのために書いた大量の文章は、読者にとって「どうでもいい」ことが多いのです。

とにかく物語は主人公から離れてはいけません。

 

失敗するキャラ設定編

主人公がマグロ

要はなにも感じ無い主人公です。

読者というのは主人公やキャラクターの感じている感情を感じながら物語を読みます。

そのときに主人公が無感情だったら、読者はなにも感じません。

物語を読んでいると言うより、ただの出来事の羅列を読んでいるような気分になってしまいます。

良くあるのが「作者は冷静で格好いい主人公を書いているつもりだったが、読者から見ると全く面白くないし意味が分からない」という奴です。

どうしても主人公を無感情キャラにするのであれば、周囲のキャラクターをオーバーなくらい感情豊かにする必要があります。

登場キャラクター全員がマグロ

上記をより酷くしたパターンです。

主人公が無感情なので主人公を見ていても読者はなにも感じ取れません。

そして、その周りにいるキャラクター達も無感情では、そこからもなにも感じ取れません。

最高につまらないので、物語と言うより出来事の羅列にしか見えません。

作者が主人公を大事にしすぎ

大きく分けて「主人公=作者の分身・理想」という考え方と「主人公=物語を動かす駒」という考え方があります。

なんとなく前者の方が文学的で誠実な気がしますが、実は大きなデメリットがあります。

主人公が作者にとって余りに大事な存在になってしまい、作者が過保護になってしまいます。

危険にはあわせず、防御策を何重にもこらし、周りに主人公を守るキャラクターを置いて、危険になりそうになったら作者がうまく展開を調整して危険を回避させる。

結果として、物事は起きるけれどもインパクトが薄く、いまいちな物語になってしまいます。

さらに、主人公が苦しまないので、作者に加護されずに苦しんでいる脇役が主役になってしまう問題もあります。(結構ありがち)

キャラクター増やしすぎ

キャラクターを不用意に増やしすぎると作者の手に負えなくなります。

ゲスト的にその話だけのキャラクターならいいですが、常にいるメインキャラクターを増やしすぎると大惨事になるのでご注意を。

 

読者置いてきぼり編

主人公の気分を頻繁に変えすぎる

作者は毎日少しずつ原稿を書いていくので、その日の気分が原稿に出てしまいます。

そうした結果、小刻みに主人公の気分が変化するような作品が出来上がってしまいます。(自作で体験済み)

その日に書いた原稿の中では整合性がとれているのですが、まとめて読むと突然主人公が明るくなったり暗くなったりして読者としてはついて行けない展開になっています。

自分の気分が作品に出やすい人にとっては結構重大な問題です。

 

場面を変えすぎる

作者が書くスピードは読むスピードより遅いので、書くときに「このぐらい書いたから場面を変えてもいいだろう」と思った感覚は当てになりません。

だいたいの場合、書いているときに感じたよりもせわしなく場面転換している作品になってしまいます。

しかし、作者が書いた直後に読み返しても意外と違和感を感じず、数ヶ月ごとか数年後に読み返して初めて気が付いたりします。

 

長編執筆編

設定を忘れる

特にプロット無しの状態で長編を書いているとよく忘れます(汗;

読者が二時間で読んでしまう物語でも作者は数ヶ月かけて書いていて、誰かが催促するわけでもないので、途中に数ヶ月の空白期間があったりする。

そんな長い時間がかかったら、人間は忘れる。

・なんとなく登場させたサブキャラ
・主要人物の細かい設定
・これまでの流れ

酷い場合には主要人物のことまで忘れ、続きを書こうとして途方に暮れます。

 

話が長くなるほど縛りがきつくなってつらくなる

きちんとプロットを書いていればいいが、思いつきで書いているとこの罠にはまる。

正直なところ、物語の最初は思いつきで結構書けるが、新しい思いつきがそれまでの物語と整合性がとれなくなっていき破綻する。

登場人物が増えすぎる・過去回想が過去の説明と食い違うetc

 

執筆を再開するのがどんどん重労働になっていく

プロットに沿って書いていく場合、最初に書かれたプロットの通りに書いていくことになるが、プロット無しで書いていく場合、どんどん溜まっていく「設定」の沼の中で書くことになる。

そして、物語が長くなるほど、設定やエピソードがどんどん増えていって、それを踏まえて書かないといけなくなり、書きかけの小説の執筆をしようすると「いま決まっている設定ってなんだっけ?」と過去の話を参照して確認しないといけない。

そして、その確認作業がきつくなっていき、執筆を再開するのがおっくうになっていき放置される……

設定の破綻をあまり気にしなければいいが、気にしてしまう性格だと高確率でこの症状に

 

終わりが見えない

たのしく書いているうちはいいのですが、いずれ物語を終わらせたくなります。

ところが、設計図がないのでエンディングが見えません。

特に物語がある程度進んでいると設定や人物が入り組んでいて、余計にエンディングが見えません。

最初からエンディングを考えておけばよかった、と後悔することになります。

 

登場人物が増やしすぎる

キャラクターをどんどん入れ替える形式ならマシですが、キャラクターがどんどん増える物語を書いてしまうと、様々な弊害が出てきます。

・キャラクターが多すぎて、会話シーンが長い割りに話が進まない

・会議シーンの会議内容がどんどん複雑になり、長くて分かりにくい展開になる

・人間関係が複雑になりすぎて把握しきれなくなる

 

インフレしすぎ

バトル物でありがちなのが、強さがインフレしすぎること。

基本的に敵がどんどん強くなっていくので、どんどんあり得ない領域になってしまいます。

それを楽しく書けるならいいですが、そうでないと書くのは地獄。

 

 

 

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昔、NHKを見ていたところイギリスのガーデニングについての番組がやっていました。

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